オズと私、どっちが好きなのと聞くとギルバートは不機嫌そうに「オズに決まっているだろ、バカうさぎ」と言ってくる。
ならばわたしを憎いと思ったことはないのかと聞くとほんの少しだけ口ごもるその姿になんだかおかしいな、と思った。

「中途半端だな。」
「…なんだと」
「だってそうだろう?私よりオズが大切なら今すぐにオズを守るべく私を殺せばいいじゃないか」
もっとも私がそう簡単にやられるわけないがな、と付け足すことも忘れない
「時がくればそうするさ」
嘘だと素直に思う。できるかどうか答えもしらないくせに。

いつだったか、「アリス君の正しさに気をつけていないと毒にもなる」とピエロが言っていた。
だけど私はその意味がわからない。だって、敵なら倒せばいいだけじゃないかと思う。
ギルバートはヘタレながらも敵を薙ぎ倒し、粉砕し、劣悪なまで醜いチェインを涼しい顔で抹殺する。清々しい風のように。
切り裂けばいいじゃないか、全て焼き払う火のように。嫌な記憶なら水に流せばいい。
星屑を集めたようなその瞳から自分を邪魔する全てを決してしまえばいいじゃないか
(何度もいうが、別にたかがギルバートにやられる気は私の長い髪の毛一本分の余地もない)
だけどお前はくだらない倫理観だか変な感じの忠誠心だか意味のない正義感だか或いはおそらく総てだかのせいで私を不思議と殺そうとしない。
意味がわからない。嘘を吐いたその口で私を守るギルバートの矛盾した感情も、そのとき安心した顔に小さく胸が痛むのも。
それでもただ一つ言えるのは、所在なさげに宙を漂うその手のままでは何も掴めないのだろう。言わないけれど。あられもないことだ。
 
 
( 契約更新ご希望でないなら公使して、あなたの業)
 
 
アリスはたまにものすごく客観的に制することがあるけどオズには薬だけどギルには毒だといいよねーという話
ギルはギルなりにアリスを大切にしてるといいなー
 
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